火鍋に浮かぶ赤い実や香辛料は、すべて食べる必要はありません。ナツメやクコの実は食べられますが、香りづけに使う硬い草果や八角などは、無理に噛まず取り皿によけて構いません。グツグツと煮え立つスープの中では見分けにくく、甘い果実やミニトマトと思って口に運んだものが唐辛子だった、ということもあります。「薬膳だから具材も香辛料もすべて食べるのが正解」と考えず、まずは素材の役割を知ることが大切です。
鍋に浮かぶホールスパイスには、具材として食べるよりも、スープに香りを移す役割のものがあります。出汁昆布のように、香りを楽しんだ後は残してよいものと考えれば、苦味や硬さを我慢する必要はありません。うらやましか 町田2号店でも、「これ、食べても大丈夫ですか?」とよく聞かれるのは、赤いナツメと黒くゴツゴツした草果です。片付けの際にも、ナツメはかじられている一方、草果や八角は残されていることがほとんどです。
スープに浮かぶ赤い実には、甘みを持つナツメやクコの実がある一方、丸い唐辛子もあり、色だけでは判断できません。また、花椒や草果などを噛むと、強い痺れや苦味で料理を味わいにくくなることがあります。厨房で草果を肉と見間違えて噛んだときは、強い苦味と薬草のような香りが口に残りました。また、香辛料をすべて粉末にした試作では、口当たりがざらつく失敗も経験しています。丸ごと入れることにも、食べずによけることにも理由があるのです。
本記事では、卓上ですぐに役立つ赤い実の判別法や香辛料の食べ方、うっかり噛んでしまった際の対処法をまとめました。当店で香りが十分に出た頃の目安としている、開始から30分前後で香辛料を穴あきお玉ですくう工夫も紹介します。香りの出方はスープや火加減によって異なりますが、素材の役割と食べ方を知れば、刺激を無理に我慢せず、本格薬膳火鍋の深いコクと香りを最後まで楽しめます。
火鍋に浮いている赤い実や香辛料は何?名前や香りと食べ方の疑問をすっきり解説!
一般的には、火鍋に入っている素材は「食べられるもの」と「香りづけのもの」に分けて説明されます。ただ、私が厨房や客席で大切にしているのは、それに加えて「どのくらい煮込まれ、どんな味になっているか」という視点です。
ぐつぐつと煮える鍋には、赤い果実や丸い唐辛子、木片のような香辛料が浮かんでいます。見た目だけで口へ運ぶのではなく、名前と役割を知っておくと、具材を取り分けるときにも迷いにくくなります。
見た目そっくりなナツメと丸唐辛子の決定的な違いとは?
赤く丸い素材のうち、特に見間違えないようにしたいのがナツメと丸型の唐辛子です。
ナツメは果肉に甘みのある果実で、乾燥したものは赤茶色でしわがあります。一方、丸型の唐辛子は辛みを加える素材です。大きさや色が似ている場合もあるため、「赤くて丸いからナツメ」とは判断できません。
| 見分けのポイント | ナツメ(大棗) | 丸唐辛子 |
|---|---|---|
| 見た目 | 赤茶色で、楕円形のものが多い | 赤色で、丸形や先端のある形などさまざま |
| 表面 | 乾燥によるしわが見られる | 品種や乾燥状態により、つややしわがある |
| 中身 | 果肉の中心に硬い種がある | 内側に薄い膜や多数の種がある |
| 食べるときの注意 | 果肉だけを少量ずつ味わう | 辛さに慣れていなければよけておく |
煮込むとどちらも柔らかくなるため、箸で押した感触だけでは見分けにくくなります。分からないときは、噛んで確かめずスタッフに尋ねてください。
うらやましか 町田2号店の客席でも、「これは食べても大丈夫ですか?」とよく聞かれるのがナツメです。赤い大きめの実は目を引きますが、初めて見る方には果物なのか香辛料なのか判断しづらいのでしょう。遠慮なく確認していただいて構いません。
スープに鮮やかさを添える小さなクコの実の嬉しい特徴
細長く小さな赤い粒は、クコの実であることが多いです。杏仁豆腐の飾りとして見かけるものと同じ食材で、水分を含むと柔らかくなります。
果実そのものには穏やかな甘みがありますが、火鍋では吸い込んだスープの味も一緒に感じます。白湯なら甘みを感じやすく、麻辣スープなら辛みや塩味が前に出る場合があります。
長く煮ると崩れやすくなるため、食べてみたい方は形が残っているうちにレンゲへ取るとよいでしょう。ただし、クコの実を食べれば口の辛さが消えるわけではありません。辛いスープを十分に吸っていることもあるので、少量から味わってください。
なぜ火鍋には何種類もの赤い果実やスパイスが入っているの?
複数の素材を組み合わせるのは、辛さだけでは作れない香りや味の幅を持たせるためです。
唐辛子は辛み、花椒はしびれと香り、八角は甘く特徴的な芳香を担います。ナツメやクコの実は、果実の風味を添える役割です。
うらやましか 町田2号店では、自家製の「マーラーの素」に加え、10種類前後のホールスパイスを使っています。同じ鍋でも、火が入って香りが立ち上がったときと、肉や野菜を煮込んだ後では印象が変わります。
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唐辛子や花椒によって辛みとしびれを組み立てる
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果実の甘みや香辛料の芳香を重ねる
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食材から出る旨みと、時間による香りの変化を楽しむ
ただし、煮込むほど必ずおいしくなるわけではありません。香りが十分に出た後は、火加減やスープの量にも目を向けることが大切です。
火鍋の赤い実や香辛料は食べるべき?残すべき?迷ったときの考え方
火鍋の素材には、果肉を楽しめるものと、主に香りを移すために使うものがあります。
「食用の香辛料であること」と「丸ごと噛んでおいしいこと」は別です。粉末なら料理になじむスパイスでも、ホールのままでは硬かったり、香りが強すぎたりします。
結論!そのまま食べて美味しいものと避けるべき素材の境界線
卓上では、次の仕分けを目安にしてください。
| 素材の名前 | 見た目の特徴 | 食べ方の目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| クコの実 | 小さく細長い赤い粒 | 柔らかければ食べられる | スープの辛みも吸っている |
| ナツメ | しわのある赤茶色の実 | 果肉を食べられる | 中心の硬い種は除く |
| 丸唐辛子・乾燥唐辛子 | 丸形や細長い赤い実 | 無理に食べなくてよい | 品種や量によって刺激が強い |
| 花椒 | 小さな茶褐色などの粒 | 粒はよけてもよい | 噛むとしびれを強く感じやすい |
| 八角 | 星形の硬い実 | ホールはよける | 硬く、香りが強い |
| 草果(ソウカ) | 筋のある茶色い大きな実 | 殻や種を無理に噛まない | 硬さと強い芳香がある |
| 白豆蔲(ビャクズク) | 白っぽい丸い殻状の実 | ホールはよける | 殻や中の種を噛む必要はない |
| 桂皮 | 樹皮や木片のような形 | よける | 香りづけ用で、繊維が硬い |
食べられる果実でも、好みに合わなければ残して問題ありません。香辛料を完食することより、具材を無理なく楽しむことを優先しましょう。
薬膳の実は全部食べるのが正解という勘違いをプロが優しく正す理由
「薬膳だから、入っているものは全部食べたほうがよい」と考える必要はありません。
火鍋のホールスパイスは、日本料理でいえば出汁を取る昆布のように、鍋の味づくりを支える存在です。もちろん、成分がすべてスープへ移るわけではありませんが、硬い実を噛み砕かなくても香りは楽しめます。
片付けの際に鍋や皿を見ると、ナツメをかじっているお客様は半数程度という印象です。一方、草果や八角、白豆蔲はほとんどの方が残しています。細かく集計した割合ではありませんが、接客を重ねるなかで見られる傾向です。
残すことを気にして、硬い香辛料まで口へ運ぶ必要はありません。「香りはスープで楽しみ、実はよける」という食べ方で十分です。
出汁殻として取り皿によけておく食事マナー
具材を取るときは、口へ運ぶ前にひと呼吸置いて確認すると安心です。
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穴あきお玉やすくい網で肉や野菜を引き上げる
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葉の重なりや肉の間に、大きな香辛料がないかを見る
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入っていた八角や草果は、別の小皿へよける
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レンゲでスープを飲む前にも、小さな粒を確認する
共有の鍋では、取り分け用の道具を使いましょう。一度口に入れたスパイスは、鍋や共有の皿へ戻さないようにします。
取り除いた香辛料の置き場に困ったら、スタッフに空いた小皿を頼んでください。食べるものと分けておくだけでも、卓上が使いやすくなります。
スープに浮かぶ代表的な香辛料の名前と独特な香りの正体
香辛料は、形を覚えると見分けやすくなります。赤い実だけでなく、星形、釘形、樹皮状といった特徴にも注目してみてください。
| スパイス名 | 見た目の特徴 | 香りや刺激の特徴 | 火鍋での役割 |
|---|---|---|---|
| 花椒 | 小さな粒状の果皮 | 柑橘を思わせる香りとしびれ | 麻辣の「麻」を担う |
| 八角 | 星形の硬い実 | 甘く濃厚な芳香 | スープに特徴的な香りを加える |
| 丁香(クローブ) | 小さな釘のような形 | 甘さを伴う強い香り | 肉料理の香りを整える |
| 草果 | 大きめの楕円形の実 | 重厚で薬草を思わせる香り | 香りの土台を作る |
| 白豆蔲 | 白っぽい丸い実 | 清涼感のある芳香 | 香りに軽さを添える |
| 桂皮 | 樹皮や木片のような形 | 甘く温かみを感じる香り | 全体の芳香をまとめる |
舌がピリピリしびれる刺激の主役!花椒の魅力
花椒を特徴づけるのは、柑橘を思わせる香りと、サンショオール類による独特のしびれです。唐辛子の熱く感じる辛さとは、異なる感覚を生みます。
麻辣スープの仕込みでは、花椒の香りが立つと、油やほかのスパイスの印象も変わります。ただ、香りを楽しむことと、粒を直接噛むことでは刺激の強さが違います。
しびれが苦手な方は、具材に付いた粒をよけるほか、注文時に花椒の量を調整できるか相談するとよいでしょう。提供後に粒を取り除いても、すでにスープへ移った刺激まではなくなりません。
甘い香気をもたらす八角とクローブの秘密
八角は星形、クローブは小さな釘のような形です。どちらも少量で存在感が出やすく、甘い香りを感じる一方、使い方によっては薬草のように感じられます。
肉の風味に重ねると奥行きが出ますが、多ければよいわけではありません。目立たせたい香りと、ほかの素材を支える香りのバランスを取ることが、仕込みでは重要になります。
皿に入ってきた場合は、硬い部分を噛まずによけてください。ホールの形を確認できると、次に取り分けるときにも気づきやすくなります。
草果と白豆蔲が作る重厚さと清涼感
黒っぽく大きな実として目立つ草果は、ナツメと並んで客席からよく質問される素材です。スープを吸って色が濃くなると、肉や内臓の一部のように見えることもあります。
実際に、試食中の私も草果を牛もつのような具材と見間違え、奥歯で噛んでしまったことがあります。中の種から苦みと湿布を思わせる香りが広がり、しばらくはスープの細かな味を捉えにくくなりました。
この経験からも、正体が分からない塊は噛む前に確かめることを勧めています。草果は香りを移すための素材で、肉のように食べるものではありません。
白豆蔲は白っぽい丸い実で、清涼感のある香りを添えます。カルダモン類として説明されることがありますが、一般的なグリーンカルダモンと同じものと決めつけず、店で使う素材の名前を確認すると確実です。
そのまま食べられる実と出していいスパイスのひと目でわかる仕分け早見表
名前が分かっても、煮込まれた状態では食べ方に迷うことがあります。ここでは、卓上での判断に絞って整理します。
| 鍋の中で見つけたもの | まず確認すること | 食べ方 |
|---|---|---|
| 小さく柔らかい赤い実 | クコの実かどうか | 少量を取り、吸ったスープの辛さを確かめる |
| 大きめの赤茶色の実 | ナツメか唐辛子か | ナツメなら種を除いて果肉を味わう |
| 小さな茶色い粒 | 花椒などの香辛料か | しびれが苦手ならよける |
| 星形や樹皮状のもの | 八角や桂皮か | 食べずによける |
| 硬い殻のある大きな実 | 草果や白豆蔲か | 無理に割ったり噛んだりしない |
| 名前の分からない塊 | 肉や具材なのか、香辛料なのか | スタッフに尋ねる |
甘みを楽しめるクコの実とナツメの果肉
クコの実とナツメは食べられますが、煮込む時間によって味わいが変わります。
当店の麻辣スープでは、前半は果実の甘みを感じやすくても、後半になると辛みや油分、塩味を強く吸っている場合があります。「甘い実だと思って食べたら、予想より辛かった」ということも起こります。
果実として味わいたいなら、食事の前半、20〜30分程度までをひとつの目安にするとよいでしょう。ただし、これは当店での食べ方の目安です。スープの配合や果実の状態によって異なるため、少量を取り、熱さと辛さを確かめてください。
ナツメは丸ごと頬張らず、箸やスプーンで果肉を分けます。中心に種が残っていないか確認してから口へ運びましょう。
うっかり噛むと刺激が強いホールスパイス一覧
花椒
小さく、葉物や肉に付きやすい素材です。粒を噛むとしびれが強く感じられるため、取り皿へ移してからも確認しましょう。
丸唐辛子や乾燥唐辛子
辛さは品種や煮込み具合によって異なります。中に種が見える赤い実は、辛さを試すつもりで不用意に噛まないほうが安心です。
八角・草果・白豆蔲・桂皮
硬い部分や繊維があり、丸ごと食べることには向きません。小さな破片になっている場合にも注意してください。
「毒だから食べてはいけない」と一括りにするのではなく、硬さや刺激、食べやすさを考えてよけるものと捉えると分かりやすくなります。
具材と一緒に口へ運ばないための取り分けテクニック
穴あきお玉は便利ですが、小さな花椒まで必ず取り除けるわけではありません。穴の大きさによって残る粒があり、葉の折り目に挟まることもあります。
引き上げた葉物は取り皿で軽く広げ、重なった肉はほぐして確認してください。キノコのひだや春雨のまとまりにも、粒が入り込むことがあります。
小皿を「食べる具材用」と「よけたスパイス用」に分けると、再び混ざりにくくなります。見落としを減らすには、道具だけに頼らず、取り分けた後の確認も組み合わせることが大切です。
誤って唐辛子や花椒の粒を噛んでしまったときの対処法
強い辛さやしびれを感じたら、まず食べる手を止めましょう。熱いスープを続けて飲んだり、慌てて大量の飲み物を流し込んだりする必要はありません。
唐辛子の辛さと花椒のしびれは別の刺激です。「これを飲めば、どちらもすぐに消える」という方法はありません。
水を飲んでも刺激が残るときはどうする?
口に残っている香辛料の破片があれば、飲み込まずに出します。そのうえで、落ち着いて少量ずつ飲み物を取り、食事を休んでください。
唐辛子のカプサイシンによる口の灼熱感には、牛乳が役立つ場合があります。水も少量ずつ飲む選択肢であり、「必ず逆効果になる」とは言い切れません。
| 対応 | 考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 破片を口から出す | それ以上噛むのをやめる | 無理に飲み込まない |
| 水を少量ずつ飲む | 飲めるもので落ち着く | 一気飲みは避ける |
| 牛乳を少量飲む | 唐辛子の灼熱感が和らぐ場合がある | 乳アレルギーがある方は避ける |
| 食事をいったん休む | 新たな刺激を加えない | 熱い・辛い料理を続けない |
花椒については、牛乳で唐辛子と同じようにしびれが取れると断言できません。感覚が落ち着くまで待ち、無理をしないことが基本です。
卓上にあるごま油やタレの使い方
ごま油ダレは、具材の風味や口当たりを変える調味料として楽しめます。ただし、ごま油を口に含めば刺激成分を洗い流せる、数秒で感覚が戻るといった効果は保証できません。
現場では、ごま油を使ったタレで具材を食べると刺激が穏やかに感じられることがあります。これは食べ方の工夫であり、強い痛みが出たときの治療とは分けて考えてください。
辛さがつらいときは、油をそのまま飲むよりも食事を止め、スタッフへ声をかけましょう。ごまアレルギーがある方は、ごま油や練りごまを避ける必要もあります。
辛さとしびれが口に残ったときの飲み物の選び方
唐辛子による灼熱感については、飲料を比較した研究で、牛乳が刺激の軽減に役立つ結果が示されています。ただし、どの飲み物でも必ず短時間で収まるわけではありません。
牛乳が飲めなければ、手元の水を少量ずつ取り、休んでください。甘い飲み物やアイスも、すべて同じ効果があるとはいえません。
息苦しさ、喉の腫れ、強い胸痛、繰り返す嘔吐などがある場合は、単なる辛さとして我慢せず、速やかに医療機関へ相談してください。呼吸が苦しい場合などは、救急要請が必要です。
火鍋の赤い実やスパイスと健康・美容の関係
薬膳という名前から、火鍋に健康や美容への効果を期待する方もいるでしょう。ただ、香辛料が入っていることと、特定の不調が改善することは別です。
店で大切にしているのは、素材の香りや味を楽しみながら、食べる方が無理なく量や辛さを選べることです。健康のために刺激を我慢したり、スープを飲み干したりする必要はありません。
身体が温かく感じられても、辛さは無理しない
熱い鍋や唐辛子の刺激によって、温かさを感じたり汗をかいたりすることがあります。しかし、それを冷えの治療や体調改善の証拠と考えることはできません。
汗が多く出たときは、飲み物を取り、室温や体調にも気を配りましょう。辛いものが苦手な方は、白湯など刺激の少ないスープを選ぶ方法もあります。
| 素材・要素 | 食事中に感じる特徴 | 楽しむときの注意 |
|---|---|---|
| 唐辛子 | 熱く感じる辛さ | 苦痛を感じる量まで食べない |
| 花椒 | ピリピリしたしびれ | 苦手なら量の調整を相談する |
| 生姜・八角 | 特徴的な香り | 香りの好みに合わせて楽しむ |
| 熱いスープ | 温かさ | やけどしない温度まで冷ます |
ナツメやクコの実は、栄養だけでなく味で選んでよい
果実として食べられるナツメやクコの実も、鍋に入る量や実際に食べる量は限られます。数粒を食べたり、煮汁を飲んだりするだけで、鉄分不足の解消や美容効果を期待するのは控えましょう。
また、含まれる栄養素がすべてスープへ移るわけではありません。「実を残してもスープだけで十分な栄養が取れる」とは断言できません。
味が好きなら果肉を楽しみ、辛みを吸いすぎていると感じたら残す。そのくらい気楽な選び方で構いません。
翌朝の胃もたれを防ぐには、香辛料より食べ方を見直す
ホールスパイスを使った鍋だから胃もたれしない、老廃物が排出される、といった効果は保証できません。食後の調子には、食べた量や油分、辛さ、飲酒、体質なども関係します。
食べ放題では、満腹を超えて食べ続けないことも大切です。後半のナツメが辛い、スープが重いと感じたら、無理に追加せず休みましょう。
鍋のスープは、飲み干して完成する料理ではありません。おいしく感じる範囲で楽しむことを優先してください。
薬膳という言葉から期待することと、料理として選ぶポイントを整理したい方には、薬膳火鍋の特徴と、食べ方・選び方の注意点もまとめています。
浮いているスパイスを邪魔にせず火鍋を最後まで美味しく食べ切るコツ
香辛料の扱いは、取り分けるときだけでなく、食事の途中でも調整できます。
当店で勧めているのは、香りが十分に出た段階で、大きなホールスパイスを一度よける方法です。最後まで全部を浮かべておかなければならない、という決まりはありません。
穴あきお玉を使って具材をすくい取る手順
| 手順 | 動作のポイント | 確認すること |
|---|---|---|
| 1. 表面を確認する | お玉で大きな香辛料を静かによける | 熱いスープを跳ねさせない |
| 2. 具材をすくう | 穴あきお玉やすくい網を使う | 肉や野菜に実が絡んでいないか |
| 3. 鍋の上で汁を切る | 少し待って余分なスープを落とす | 小粒の花椒は残る場合がある |
| 4. 取り皿で広げる | 葉物や肉の重なりをほどく | 口へ運ぶ前に粒や硬い破片を見る |
共有の鍋では、香辛料を大きく動かす前に同席者にもひと声かけるとスムーズです。道具が使いにくい場合は、スタッフへ相談してください。
煮込み時間によって変化するスープの香りと辛み
うらやましか 町田2号店のスープでは、沸騰後5〜10分程度が、ホールスパイスの香りを感じやすくなる目安です。そこから肉や野菜の旨みが加わり、味わいが変化していきます。
一方、食事を始めて1時間前後になると、草果や八角の香りが重く感じられたり、渋みやえぐみが気になったりすることがあります。煮詰まりによる塩味の強まりも重なるため、時間だけで一律に判断はできません。
そこで、30分前後を目安に鍋の状態を見て、大きな八角や草果を取り皿へ引き上げる方法を勧めています。花椒も、すくえる範囲で一緒によけると、後半に具材へ絡む粒を減らせます。
ただし、取り除けば煮詰まりそのものを防げるわけではありません。スープが減ったら差しスープを頼み、強く沸き続けている場合は火加減も相談しましょう。引き上げる時期は店の配合によって異なるため、ほかのお店ではスタッフの案内を優先してください。
自分好みの辛さとしびれに調整するタレの合わせ方
タレは刺激を消す薬ではありませんが、味の感じ方を変える助けになります。
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ごま油・練りごま
ごまの風味やコクが加わります。まず少量で試し、油分を増やしすぎないようにしましょう。
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黒酢
酸味で後味に変化が出ます。辛みを化学的に中和するものではありません。
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刻みニンニク・パクチー
香りの方向を変えたいときに向いています。ニンニク自体の刺激が苦手な方は控えめに。
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オイスターソースなどの調味料
旨みや塩味を足せますが、スープが塩辛いときに追加すると濃くなりすぎる場合があります。
辛さそのものが負担なら、タレで我慢するよりも、辛くない側のスープへ切り替えるほうが分かりやすい調整です。
本格火鍋の深い香りとコクは丁寧な手づくりの仕込みから生まれる
卓上に浮かぶホールスパイスには、仕込みと食事中の両方で役割があります。ただ見栄えを整えるために入れているわけではありません。
使う量、砕き方、火の入れ方によって、香りだけでなく口当たりも変わります。その違いをはっきり感じたのが、自家製「マーラーの素」を開発していた頃の試作でした。
ホールスパイスの香りを引き出す油と火加減の関係
香辛料を油へ加えるときは、香りを出そうとして加熱しすぎないことが大切です。焦げた苦みが付くと、その後にスープを加えても整えにくくなります。
適した温度や時間は、油の量、鍋、香辛料の乾燥状態や砕き方でも変わります。花椒は何度、草果は何度と、すべての厨房に共通する数字で区切れるものではありません。
| 確認する点 | 厨房で見る変化 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 火加減 | 香りの立ち方や色づき | 強い火で急いで仕上げない |
| 砕き方 | 香りの出方と細かな粉の量 | 粉砕しすぎると口当たりに影響する |
| 混ぜ方 | 鍋底への付着 | 一部分だけを加熱し続けない |
| 仕上がり | 香りと苦みの釣り合い | 焦げ臭さを濃い味で隠そうとしない |
ホールのまま煮出す方法もあれば、一部を割ったり粉末を使ったりする方法もあります。大切なのは、狙う味と食感に合わせて使い分けることです。
辛いだけではない自家製麻辣スープへの探求
開発初期、「全部を粉末にすれば、お客様が硬いスパイスを噛まずに済むのでは」と考え、細かくすり潰して試したことがあります。
ところが、その試作では口当たりが粉っぽくなり、ザラつきが残りました。時間がたつと鍋底へ粉がたまり、焦げ付きによる苦みも出てしまったのです。
親切なつもりで形をなくした結果、食べにくさの種類を変えてしまいました。この失敗から、当店では「噛みにくい素材をなくすこと」だけでなく、「香りを出しながら、食事中によけられる状態を残すこと」も重視するようになりました。
粉末の香辛料が悪いわけではありません。量や調理法に合えば役立ちます。ただ、当店の配合では、すべてを粉にするよりも、ホールを組み合わせたほうが目指す口当たりに近づきました。
客席で香辛料をよけやすいことは、厨房での仕上げ方ともつながっています。
うらやましか 町田2号店が提案する、好みに合わせて楽しむ2色鍋
辛さやしびれの好みは、一緒に食べる方同士でも違います。2色鍋なら、麻辣と白湯など、異なるスープを行き来しながら楽しめます。
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麻辣側では、花椒や唐辛子の香りと刺激を味わう
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辛さを休みたいときは、白湯などの側で具材を食べる
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タレは少量ずつ作り、好みに合わせて調整する
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正体の分からない実や塊は、噛む前にスタッフへ尋ねる
肉はどちらのスープでも中心まで十分に加熱し、生肉用の箸と食べる箸を分けてください。
香辛料の名前をすべて覚える必要はありません。食べられる果肉を少し味わい、硬いものはよけ、途中で鍋の状態を見直す。それだけでも、最後まで落ち着いて火鍋を楽しみやすくなります。
よくある質問
火鍋に浮いている赤い実はナツメ?唐辛子との見分け方は?
赤い実の代表的な2種類が、ナツメと唐辛子です。ナツメは赤茶色でしわのある楕円形が多いものの、煮込むと見分けにくくなるため、不明な場合は噛まずにスタッフへ確認してください。
火鍋のナツメは丸ごと食べてもいい?
ナツメは果肉を食べられますが、中心の硬い種は除きます。1個を丸ごと口へ入れず、箸やスプーンで果肉を分け、熱さと吸い込んだスープの辛さを確かめてください。
火鍋のクコの実はいつ食べるとおいしい?
当店では、形や甘みを楽しみたい場合、食事の前半の20〜30分程度を目安にしています。煮込み時間やスープによって味は変わるため、辛みを強く吸っていたら無理に食べる必要はありません。
火鍋の黒い塊や白い丸いスパイスは何?
候補となる2種類に、黒っぽく大きな草果と、白っぽい丸い白豆蔲があります。どちらも主に香りづけに使うため、硬い殻や中の種を無理に噛まず、正体が分からなければスタッフへ尋ねてください。
火鍋のスパイスは何分くらいで取り除けばいい?
当店では30分前後に鍋の状態を見て、大きな八角や草果を引き上げる方法を勧めています。店の配合や火加減によって異なり、取り除いても煮詰まりは続くため、差しスープや火力の調整も必要です。
火鍋の唐辛子や花椒を噛んだら、ごま油を飲めば治る?
ごま油で辛さやしびれがすぐに消えるとはいえないため、まず破片を出して食事を休んでください。唐辛子の灼熱感には牛乳が役立つ場合がありますが、花椒とは刺激の仕組みが異なり、2つを同じ対処法で解消できるとは限りません。
引用・参照元
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エスビー食品「スパイス&ハーブPlus+」
香辛料の名前や、香り・用途についての参考資料。
https://www.sbfoods.co.jp/spice-herb/index.html (sbfoods.co.jp) -
Poison Control「Capsaicin: When the chili is too hot」
カプサイシンによる刺激と、牛乳や水を少量ずつ飲む対処についての参考資料。
https://www.poison.org/articles/capsaicin-when-the-chili-is-too-hot (poison.org) -
Noldenほか「Putting out the fire — efficacy of common beverages in reducing oral burn from capsaicin」
唐辛子による口の灼熱感に対する、飲料の比較研究。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6620146/ (pmc.ncbi.nlm.nih.gov) -
Haguraほか「Touch inhibits touch: sanshool-induced paradoxical tingling reveals perceptual interaction between somatosensory submodalities」
サンショオールによるしびれの感覚に関する研究。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7893281/ (pmc.ncbi.nlm.nih.gov) -
米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)「“Detoxes” and “Cleanses”: What You Need To Know」
老廃物の排出などをうたうデトックス効果の、根拠と注意点についての参考資料。
https://www.nccih.nih.gov/health/detoxes-and-cleanses-what-you-need-to-know (nccih.nih.gov)
この記事を書いた理由
著者 – 大田 累(うらやましか 町田2号店 代表)
町田の店舗で日々鍋をお出しするなかで、お客様がスープに浮かぶ赤い実を口にして激しい辛さに驚かれたり、粒の花椒を誤って噛んでしまい舌の痺れで箸が止まってしまったりする場面を何度も目にしてきました。
店内で丁寧に仕込む自家製の「マーラーの素」をはじめ、火鍋に浮かぶ丸唐辛子や八角、花椒などのスパイスは、本来スープに香りや深いコクを移すための大切な役割を担っています。しかし、甘いナツメやクコの実と見分けがつかず、すべて食べきらなければならないと思い込んで無理をしてしまう方も少なくありません。素材ごとの役割や避けるべきものがあらかじめ分かっていれば、防げたはずの失敗です。
せっかくの食事の席で刺激に圧倒され、楽しい時間が台無しになってしまうのは、作り手としてこれ以上なく悔しいことです。鍋に浮かぶ素材の正体や正しいよけ方を知るだけで、火鍋はもっと心地よく、最後の一滴まで美味しく楽しめます。卓上で迷わず笑顔で味わっていただきたいという思いから、現場でお伝えしている知識をまとめました。

